理事長メッセージ
奈良の再発見を通して日本と世界に貢献する
私はこれまで世界の116カ国を訪問してきました。しかし、奈良はそのどれに比べても勝るとも劣らない、最高の都市であり地域だと思っています。私自身、奈良県に生まれ、中高6年を奈良市の学校で学ぶことができたのは、幸せなことだったと思っています。
奈良は、日本統一の原点であり、日本の最初の本格的な首都であり、中国、朝鮮をはじめとする多くの民族が居住する国際都市でした。その奈良で学び、奈良を学ぶことは、日本を学ぶことであり、世界を学ぶことです。
2020年から3年あまり、世界はコロナ禍で苦しめられました。2021年ミャンマーとアフガニスタンで政変が起こり、日本を含む国際社会が支援していた政権が崩壊しました。また2022年2月には、ロシアがウクライナに攻めこんで、激しい戦闘が行われ、1年以上続いています。大変な時代になったと、みなさんは思っておられるでしょう。
しかし、これは歴史上それほど珍しいことではありません。感染症パンデミックと政変と戦争の中を、人は生き抜いてきました。
古代日本でも、645年の乙巳の変などのクーデターがあり、663年の白村江の戦いのような対外戦争があり、672年には、古代最大の内戦である壬申の乱がありました。これらは、いずれも奈良県の中で起こったか、あるいは奈良に密接に関係した事件でした。
また、735年から737年にかけて、天平の疫病(天然痘)大流行があり、100万人ないし150万人、当時の人口の25%ないし35%が死亡したと言われています。大仏の建立は、この疫病の退散を願ってのものでした。
その奈良は、今日まで平和で文化的な町として生き残ってきました。江戸時代末期に奈良奉行を務めた川路聖謨は、奈良の地が東大寺、興福寺の二大寺院をはじめとしてよく保存されているのは、人々がみなこの町を大切にしてきたからだと述べています。
この困難な時代に、奈良県立大学は、こうした歴史をよく噛み締めながら、教育・研究に取り組み、国際社会で活躍できる人材を育成することを目指します。
いつの時代にあっても、大学の4年間というのは特別な時期です。私自身もそうですが、生涯の友人に出会い、忘れられない本や映画や音楽に出会うのは、大学生の時が多いのです。激しい動乱を乗り越えてきたこの美しい平和な町で、ぜひ、一生に残る思い出を沢山作っていただきたいと思います。
奈良県立大学理事長 北岡 伸一
奈良は、日本統一の原点であり、日本の最初の本格的な首都であり、中国、朝鮮をはじめとする多くの民族が居住する国際都市でした。その奈良で学び、奈良を学ぶことは、日本を学ぶことであり、世界を学ぶことです。
2020年から3年あまり、世界はコロナ禍で苦しめられました。2021年ミャンマーとアフガニスタンで政変が起こり、日本を含む国際社会が支援していた政権が崩壊しました。また2022年2月には、ロシアがウクライナに攻めこんで、激しい戦闘が行われ、1年以上続いています。大変な時代になったと、みなさんは思っておられるでしょう。
しかし、これは歴史上それほど珍しいことではありません。感染症パンデミックと政変と戦争の中を、人は生き抜いてきました。
古代日本でも、645年の乙巳の変などのクーデターがあり、663年の白村江の戦いのような対外戦争があり、672年には、古代最大の内戦である壬申の乱がありました。これらは、いずれも奈良県の中で起こったか、あるいは奈良に密接に関係した事件でした。
また、735年から737年にかけて、天平の疫病(天然痘)大流行があり、100万人ないし150万人、当時の人口の25%ないし35%が死亡したと言われています。大仏の建立は、この疫病の退散を願ってのものでした。
その奈良は、今日まで平和で文化的な町として生き残ってきました。江戸時代末期に奈良奉行を務めた川路聖謨は、奈良の地が東大寺、興福寺の二大寺院をはじめとしてよく保存されているのは、人々がみなこの町を大切にしてきたからだと述べています。
この困難な時代に、奈良県立大学は、こうした歴史をよく噛み締めながら、教育・研究に取り組み、国際社会で活躍できる人材を育成することを目指します。
いつの時代にあっても、大学の4年間というのは特別な時期です。私自身もそうですが、生涯の友人に出会い、忘れられない本や映画や音楽に出会うのは、大学生の時が多いのです。激しい動乱を乗り越えてきたこの美しい平和な町で、ぜひ、一生に残る思い出を沢山作っていただきたいと思います。
奈良県立大学理事長 北岡 伸一
きたおか・しんいち/ 1948 年生まれ
1971年 東京大学法学部卒業
1976年 東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)
1985年 立教大学法学部教授
1997年 東京大学法学部教授
2004年 特命全権大使(国連日本政府代表部次席代表)
2012年 東京大学名誉教授
2012年 国際大学学長
2014年 政策研究大学院大学特別教授
2015年 国際協力機構(JICA)理事長
2015年 4月から公立大学法人奈良県立大学理事長を務める
2022年 4月 国際協力機構(JICA)特別顧問
1976年 東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了(法学博士)
1985年 立教大学法学部教授
1997年 東京大学法学部教授
2004年 特命全権大使(国連日本政府代表部次席代表)
2012年 東京大学名誉教授
2012年 国際大学学長
2014年 政策研究大学院大学特別教授
2015年 国際協力機構(JICA)理事長
2015年 4月から公立大学法人奈良県立大学理事長を務める
2022年 4月 国際協力機構(JICA)特別顧問