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谷三山没後150年記念フォーラムを開催しました

[2018年3月30日]

ID:548

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お知らせ

谷三山没後150年記念フォーラムを開催しました

平成29年12月3日、奈良県立大学は橿原市と共同主催により「谷三山没後150年記念フォーラム」を橿原文化会館において開催いたしました。

開会にあたり、主催者を代表しまして森下豊橿原市長からご挨拶いただきました。

森下豊橿原市長

引き続き奈良県立大学ユーラシア研究センター特任准教授の中島敬介から、今回のフォーラム開催の経緯及び本日のプログラムの概要について説明を行いました。

中島特任准教授

続いて元天理大学文学部教授の谷山正道氏から、『谷三山の魅力―幕末大和に「過ぎたるもの」あり―』をテーマに、基調報告をいただきました。

◇三山は障害(全聾)を有しながらも、ほとんど独学で学問を究め、多くの有為な人材を育成したこと。

◇激動の幕末期において、三山は国内外の情勢の把握につとめ、広い視野のもと、活発な検察活動を展開したこと。

◇国内外の情勢の変化に伴い、三山はついには尊王攘夷の立場を明確にするに至ったが、一貫して民衆の生活に思いを馳せ、「民政」の安定という考え方が前提にあったこと。 など

 

谷山正道氏

続きまして、3人の方々から個別発表をいただきました。

一人目は金城学院大学文学部教授の桐原健真氏です。

桐原氏からは『「天下の奇人」との邂逅―吉田松陰と谷三山―』をテーマに、谷三山と吉田松陰との交流から、松陰が三山の人間性に感激し、三山に対して尊敬の念を抱いていることや、教育者としての三山に松陰が共感していることなどについてお話いただきました。

 

桐原健真氏

二人目は公益財団法人郡山城史跡・柳沢文庫保存会研究員の吉田栄治郎氏です。

吉田氏からは『谷三山と経世済民―石門心学との交叉から―』をテーマに、尊王攘夷論者である三山が民政重視の思想を有しており、また、偏りのない社会観も備えていたが、そのベースには石門心学があったことなどについてお話いただきました。

吉田栄治郎氏

三人目は天理大学文学部歴史文化学科講師の黒岩康博氏です。

黒岩氏からは『三山の本棚―蔵書目録に見る知的基盤―』をテーマに、三山の思想や幅広い知識の源泉となった蔵書目録についてお話いただきました。

黒岩康博氏

その後、下記の方々に登壇いただき、ディスカッションを行いました(中島特任准教授がコーディネーターを務めました)。

<登壇者>

谷山正道氏(元天理大学文学部教授)

桐原健真氏(金城学院大学文学部教授)

吉田栄治郎氏(公益財団法人郡山城史跡・柳沢文庫保存会研究員)

黒岩康博氏(天理大学文学部歴史文化学科講師)

上田長生氏(金沢大学人間社会研究域(国際学類・人文学類)准教授)

奥本武裕氏(奈良県立同和問題関係史料センター所長)

橋本紀美氏(安堵町歴史民俗資料館館長)

上田長生氏

奥本武裕氏

橋本紀美氏

先の基調報告並びに個別発表を起点に、登壇者の方々からさまざまな観点からご意見をいただきました。

【主なテーマと発言趣旨(カッコは主な発言者)】

◆「尊王攘夷」という言葉(桐原氏)

・「尊王」と「攘夷」との(奇妙な)ドッキングは、後期水戸学によるものであること。

・「尊王攘夷」という言葉を媒介に、知識人らによる政治的主張・要求が展開されたこと。

◆三山と修陵(天皇陵修復)事業(上田氏)

・三山が天皇陵へ関心を寄せていたことは三山の尊王思想の現れと考えてよいと思われるが、そのことは社会秩序を立て直していくうえで注目した可能性があること。

・三山は、修陵事業により庶民の田んぼや墓を除ける際にそれ相応の対価を支払って民が苦しまないように補償するべきだ、と上書に書いたこと。また、その宛先が自分の領主ではなく京都所司代としており、時代環境や社会情勢に機敏であったこと。

◆森田節斎と三山との違い(奥本氏、吉田氏、桐原氏)

・同時期に尊王攘夷論者として活躍した両者だが、三山が「経世済民」の考え方を重視したのに対し、節斎は詩文の世界などから語り起こしていくところがあったのではないかと思われること。

・節斎には国家論というものがなかったのに対して、三山には明確な国家論があったことで吉田松陰の評価が違ったものになったのではないか、と考えられること。

◆今村文吾について(橋本氏)

・三山と同世代で、幕末大和の大思想家である今村文吾についての紹介、及び三山との交流について現在調べていること。

◆尊王攘夷と民政重視(谷山氏)

・三山は、民政の安定を重視することを前提に攘夷の実行を主張している点で、武力で行動を起こした天誅組(首謀者)と大きな違いがあり、三山の立ち位置を支持したいと思っていること。

・三山は、自己の考えを主張し、それを受け入れてもらうことで社会や政治のあり方を変えていこうとしたこと。つまり、訴える「相手」の存在を認めたうえで社会改良を進めていこうとしたこと。

◆三山のニュースソース(黒岩氏、谷山氏、桐原氏)

八木という交通の要衝の地からさまざまな情報が入ってきたと思われること。また、膨大な本を購入しており、その中には最新の世界情勢の図書も含まれていたこと。

◆社会の現実に目を向ける(吉田氏)

・三山は観念的なことをあまり重視せず、現実を直観的に把握できたこと。そのため、差別問題といった社会の矛盾に向き合うことができたこと。

・「もう一つ」の明治維新150年を考えることができるとすれば、それは三山の生き方であり思想ではないか、と思われること。

最後にまとめとして、谷三山を再評価する意義と今後の谷三山の研究活動の方向性について登壇者の方々からご意見を賜りました。

ディスカッションの様子

ディスカッションの終わりに、谷三山のご子孫であります谷道央氏から、谷三山の人柄にまつわるエピソードのご紹介と本日のフォーラム開催にあたっての謝辞をお述べいただきました。

谷道央氏

フォーラムにはおよそ200名の方々にご参加いただきましたが、最後まで熱心に聴講いただきました。ご参加いただきありがとうございました。

会場の様子

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